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2014年9月30日 (火)

情報過多の時代における家庭教師の役割

 英語を教えている私も、もちろん英語の疑問点を調べることがある。最近は専らネットで調べることが多いが、本当に情報が豊富で、ほぼ全ての疑問が、ネットで片付いてしまうと言ってもいい。

 文法の解説など、英語そのものについての情報はもちろん、お薦めの教材、お薦めの勉強法、自らの体験記など、ありとあらゆる情報があふれている。ネットだけでもこれだけの情報が揃えば、あえて誰かに英語を習う必要はなくなってくるのではないか、ましてや、費用のかかる家庭教師に習う必要はなくなってくるのではないか、などと私の立場では不安を感じたりする。

 では、家庭教師は不要になるかと言うと、需要は減るかもしれないが、なくなることはないだろう。情報が豊富にあると言っても、それを生かして自ら勉強ができるためには、それなりの世界観が確立していなければならず、それを確立するには、やはり人による対面指導が必要だと思うからだ。

 ここで言う世界観を明確に言葉で説明するのは難しいのだが、・・・だからこそ人による対面指導が必要なのだ・・・一言で言えば、おぼろげながらでも全体像がつかめているという感覚、もう少し言えば、これから未知のことを勉強していくにしても、やるべき事の見当がつく、進むべき方向はこちらだと感じられる感覚、といったことになるだろうか。

 ちなみにこうした感覚は、一定量の知識が、体系的、有機的に結びついて起こる、脳内変化によるものと言える。なので何を勉強するかといった、勉強の内容・題材というよりも、とにかく脳内変化が起こるまで、継続的に脳に適度な負荷をかけ続ける、といったことが重要だ。そしてこうした指導は、ここを読んでおいてね、というような指示で済ますことはできない。つまり、情報として伝えられる類のものではなく、まさに、対面指導の出番なのだ。

 では、その必要な世界観が確立していれば、対面の指導は不要かと言えば、まあ不要と言っていいかもしれない。ただそれでも、情報の選択係など、家庭教師の役割はある。現在はとにかく情報過多の時代なので、多くの情報に接することはできても、今の自分にとって最適な情報はどれなのか、という判断は意外と難しい。あるいは判断ができても、時間がかかって非効率ということもある。問題集選び一つとっても、今はものすごい数があるので、途方に暮れたりする(と、以前社会人の生徒が言っていた)。こうしたことも含め、生徒の状況を的確に判断した上で、最適な情報が提示されれば、勉強の効率アップにつながる。

 ペースメーカーとしての役割もありそうだ。定期的に授業を行なうことで、必然的に勉強に向かうようになるといった効果はもちろん、そのくらい定着したのなら先に進むべき、その程度の理解なら立ち止まってもっと復習すべき、などの指摘もできる。

 やる気を出させること、モチベーションの維持も、もちろん重要な仕事で(一番重要と言っていい)、これこそ、ここを読んでおいてね、といった指導では不可能なことだ。

 と、このように、情報過多の時代においても、どうやら対面指導の家庭教師の出番はありそうだ。そう言えば、以前ある知識人が、「教育とは情報として伝えられないことをつかませることだ」と言っていた(と記憶している)。実に名言で、これをすることこそ、教師の存在意義だと思っている。そして、英語110番を開設してからは、そのことを肝に銘じて授業を行なってきたつもりだ。情報があふれる時代になっても、いやむしろ、そういう時代だからこそ、そのことの重要性は高まっている。今後もその名言を胸に、授業を行なっていきたい・・・と宣言して、満4年目のブログ記事を締めくくろう。

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