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2013年7月31日 (水)

単語は自分でできる?

 夏休みとなり、入会希望者の体験授業も増えてきた。体験授業では、こちらの授業のやり方を示すとともに、色々と話を聞いたり、テストの点などのデータ類を見たりして、生徒の現状を分析し、今後の授業の方針、自らの勉強の仕方の注意点などを提示している。

 そこで私が言うことが多いパターンは、「一番のポイントは単語の暗記だ。とにかく単語の暗記を徹底してやらなければならない。」というもの。それに対し、「ポイントが単語なら、自分でできる。」と言って、入会しない生徒が少なからずいる。果たして本当に、単語は自分でできるのだろうか?

 もちろん一般論としては、単語は自分でできて何の不思議もないし、本来は自分でやるべきだ。でも、英語に困って、英語110番の門を叩くに至ったような状況の人はにとっては、単語が自分でできるか(もしくは単語を本当にやろうとしているのか)は正直言って疑わしい。そもそも、本当の意味で単語を自分で勉強できるためには、次のことが必要だ。

 1、継続的にやる気が維持できる
 2、自分の状況が正確に把握できる
 3、暗記の方法がわかる
 4、何を覚えたらよいかがわかる

 1について・・・最も重要なポイントで、技術論では解決できないやっかいなものだが、ともかくこのやる気がなければ始まらない。しかも継続的なやる気がなければ、暗記の作業は続かず、一時は覚えたにしても、結局忘れてしまい、なかなか単語は定着しない。

 2について・・・ここで特に大事なのが、単語を練習した結果、それで自分が覚えたのか、まだ覚えていないのか、判断ができるということだ。本来これはチェックすれば簡単にわかるのだが、勉強しているということ自体に満足してしまい、成果には意外と無頓着だったり、恐らく覚えているだろうという、希望的観測のみで判断を下したりと、上手くいっていない例が多いように思う。ちなみにこの判断ができないと、先に進むべきか、もう少しとどまって練習を重ねるべきか、あるいはそろそろ以前の復習をすべきか、といった判断も誤ってしまい、ここでもうひと押し練習すれば忘れなかったのに、それをせず結局忘れてしまったという、もったいないことが起こりがちだ。

 3について・・・労をかけずして覚えられるといった、夢のような暗記法は残念ながらない。暗記をするには、やはり一定の労力をかけることが必要だ。ただせっかく労力をかけるのなら、それを無駄にしないよう、次の点に注意したい。まずはよく言われることだが、五感を使うこと、具体的には、発音を聞き、自らも声に出して発音し、手を使って書く、ということが重要だ。脳に多種類の刺激を送ることが、記憶の定着を促進するのだ。単語暗記が苦手な人は、ただ単語集を眺めているだけというパターンが多いが、これではやはり刺激が少ない。もちろん反復作業も重要だ。一度練習したくらいでは忘れるのが普通なのだから。その際、どのくらいの頻度で、どの程度反復するかもポイントとなるが、その判断には、2で述べたように、自分の状況が正確に把握できることが必要になる。

 4について・・・大学受験が目標ならば、それに即した単語集を使うことが、何を覚えたらよいかを最も簡単に把握する方法だろう。ただ一口に単語集といっても、上級向け、初級向けとあり、生徒の今のレベルや、目標とするレベルによって、適切な選択が求められる。また、どの意味を覚えるかも重要だ。私は受験向けた単語暗記に際しては、基本的に、受験によく出る「1つ」の意味(大体単語集では、それは赤字で示されている)を「確実に」覚えることがポイントだと思っている。あれもこれも覚えようとすると、結局どれも頭に残らないことが多いからだ。ただ中には、2つ(またはそれ以上)の意味を覚えなければならないものもある。例えば appearは「現れる」と「~に見える」の2つを覚えなければならない。中学基本語だが、中学では習わない意味を覚えることも重要だ。例えば thenは「その時」「それから」だけでなく、「それなら」も覚えるのが必須だ。こうしたことを認識していないと、その単語を知らないわけではないが、必要な意味が覚えられていなかった、ということになってしまう。何を覚えたらよいかは、実は奥が深く、重要なポイントなのだ。

 以上のことを踏まえてもなお、もちろんそんなことはわかっているし、実践もしているというのなら問題はない。本当に単語は自分でできるだろう。でもそうでないのなら、英語110番の指導を受けていただくか、またはコーチ役になってくれる人を見つけ、以上のことを的確に指導してもらう必要があると思う。

 ちなみに生徒や保護者の方、さらには同業者からも、単語を教えると言っても一体何をやるのか、と問われることがあるが、それは以上のようなことにきちんと対処をするということだ。すなわち、生徒にやる気を出させ、かつそれを維持させ、生徒の現状や目標を把握して、それに基づいて何を覚えたらよいかを的確に指摘し、正しい暗記の方法を実行させ、どのくらい覚えたかを指摘し、適宜反復もさせ、必要な単語を確実に定着させる、そしてそれらの作業が自ら自然に行なえるようにする、ということだ。

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