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2013年6月30日 (日)

従来の教材が使えない?

 恐らく、私は頑固な方なのだろう。そもそも、自らの思いを貫くために、独立して一人で教えているくらいなのだから(3月の記事参照)。でも、やみくもに頑固な訳ではなく、状況には柔軟に対応しているつもりだ。その一つの表れとして、従来よく使っていた教材が、あまり使われなくなったということがある。時代の移り変わりとともに、学ぶべきことの中心が変わったり、入試問題の質が変わったりして、それらに対応した結果だ。

 例えば「精読」という教材がある。本格的な長文問題を行う前の下準備として、数行の英文をじっくり訳すというもので、オリジナルでも作成している(→見本)。従来精読の教材は、習った文法事項を長文読解にどう適用するかを学ぶことが中心だったが、こうした教材の出番がだんだん少なくなってきた。それはやはり、入試の質が変わって、文法や構造が複雑で難解な英文を読み解く必要性が減り、一文の難解さはそれほどでなくても、より長く情報量の多い文章から、主旨や重要なポイントがつかめたかを問うことが増えてきたからだ。

 そこで問われるのは、難解な英文を読み解く能力というより、論旨の展開をきちんと追いながら、筆者の言いたいことを確実につかむ力だ。こうした力を育成するのに、やはり従来の教材では対応しきれず、新しい教材を作成した(→見本)。文法の適用というよりも、主旨をつかむには、何に注意して読んだらよいかということを学んでもらう教材だ。

 このようなある項目に的を絞った教材の他に、入試過去問の長文等で、よい練習になるものが、レベル別、ジャンル別にリストアップされており、適宜選択して利用している。ちなみに最近使用した中で印象深かったものとして、2012年明治大(法)の2番の長文問題がある。途中論旨が分かりにくくなるところがあるが、そこを乗り越えられるかが1つのポイントだ。動物に対する我々人間の意識を再考させるもので、内容的にも興味深い。レベルは中上級向けで、語数は1000語程度と長め。興味のある人はぜひ解いてみていただきたい。

 と、このように、状況の変化には十分に対応しているつもりだが、読解においても、また4択問題等でも、難しい文法があまり問われなくなったと言っても、英語学習において、文法をやらなくてよいということにはならない。ネイティブでない我々日本人が、大学入試レベルの高度な英語に対応するには、やはりベースに文法は必要だ。ただ以前のように、マニアックな知識や、意地悪で瑣末な文法問題にまで対応できる力は、必要なくなった。なので、文法の扱いは相対的に軽くしてよいとは思うが、この「軽く」には注意が必要だ。

 ウチに来る生徒は、年々文法力が下がっている気がするが、聞くと、どうも学校できちんと文法を習っていないことが多いようなのだ。上述のような変化を意識してか、あるいは、これまでの文法中心主義を改めようという気持ちが強いのか、文法の扱いがまさに軽いのだ。その扱い方は、解説をほとんどせずに、ただ問題集を解かせるというもの。何となく分かればいいから、などと言われつつ。

 でも、この軽さは何か違うと思う。そもそも勉強において、何となく、または曖昧な形で定着させるという、器用なことはできない気がする。少なくとも、勉強した段階では、明確な形で確実に覚えるべきだ。そうであっても時が経てば、得てして知識は曖昧になっていくものなのに(もちろんそうならないよう復習をするのだが)、初めから曖昧では、時が経てば、もはや何もなくなってしまう。

 私も文法の扱いは軽くしてよいと言ったが、私が思う「軽さ」は、ただ扱う項目を減らすというだけだ。きちんと理解して確実に覚えるという、勉強の精度は全く犠牲にしない。むしろ項目は絞ったから、その代わり確実に覚えてくださいね、というスタンスだ。少なくとも文法を習いたての時は、とりわけ重要単元(私が思うのは、品詞、文の要素、不定詞、動名詞、分詞、関係詞、接続詞)においては、そういう姿勢で勉強すべきだ。そうすることによって、体系的に文法が頭に収まり、文法的視点というものが養える。こうなれば、あとは問題集を解いておいてと言うだけでも、ある程度指導は成り立つ。

 元々私の英語学習のモットーは、「的を絞って確実に」なのだが、こと文法においては、「頑固に」それを貫きたいと思う。

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