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2011年10月26日 (水)

単語を覚えなくてよい?

 少し前に、ある生徒(浪人生)が入会した。初回の体験授業で、状況を色々聞くと、この春から、つまり浪人してから、単語の暗記をやめたと言う。あまりにも意外な発言に、一体どういうことなのかと尋ねると、現役時は、単語集を使って暗記をしていたのだが、予備校に入って、その最も信頼する先生が、単語は覚えなくてよいと言ったので、指示通り覚えるのをやめたと言うのだ。

 英語学習で、単語を覚えないということは考えられないので、色々と突っ込んで聞いてみると、長文学習をしっかりやっていれば、単語をあえて意識的に覚える必要はない、というのが先生の話の趣旨だったようだ。でも、どこか単語を軽視したトーンを感じたことにより、また、長文を通して単語を身につける、その方法論を教わったわけではないので、この生徒は、他に代替の方法をとることもなく、それまで行っていた単語集による単語の暗記を、ただやめるだけという結果になってしまったのだ。

 そもそも単語を知らずに英文を読める訳がなく、単語は絶対に覚えなければならないはずなのだが、時おり予備校等で、単語は特にやらなくてよい、という指導を耳にする。なぜなのだろう? 推察してみるに、そうしたことを言う先生は、自らが非常に出来るので、単語を覚えるということに苦労したことがないのではないか。したがって先生自身が、単語だけに照準をあてて意識的に暗記をする、という行為をしなくても、英文を読む過程で自然と必要な単語が覚えられたので、巷で言われる単語集を用いた暗記などは不要に感じ、生徒にもそうした不必要な作業をさせたくない、と思っているのかもしれない。

 ただし、意識的に単語を覚えなくてもよい人がいるとすれば、それは、そうした行為をしなくても必要な単語が覚えられる人のみ。実際、頭がよく、単語など苦労なく覚えられてしまう人は、確かにいる。そうした人は、あえて単語集などで、意識的に単語を覚える必要はないだろう。でもそうでない人は、意識的に覚えるしかないのだ。方法や過程はともかく、結果として単語が頭に入っていなければならないのは、絶対条件なのだから。願わくば、単語を特にやらなくてよいと言う先生方には、それは出来る人向けのメッセージだと断った上で、そうした発言をしていただきたい。

 一方、この件でホッとしたところもある。やはり人間には、不合理を察知する本能があるのだなと、感じられたことだ。そもそも、この生徒がウチに来たのは、春から単語の暗記をやめたものの、夏の終わり頃になって、何かおかしいな、このまま単語を覚えないのはヤバイのではないかと、自ら気づき(なぜもっと早く気づかなかったのだ、という思いはあるが・・・)、何か対策を取らなければと思ったからだ。

 最近は、指示にはきちんと従う、比較的素直な生徒が多いが(もちろんこれはこれで大事)、自ら判断をする力は、やや弱くなっている気がする。実際、雄弁に色々語れても、「あなたはどう思うの?」と聞くと、とまどってしまう生徒は多い。でも、最後の頼みは自分。色々な所にアンテナを張って、何が妥当かを探りつつ、自分の中から湧いてくる感覚も信じよう。

 ちなみにこの生徒に、単語力のチェックをしてみると、最低限の蓄積はなされていて、不幸中の幸いだった。勉強自体は真面目にしてきたので、意識的に覚えなかったとは言え、様々な勉強で自然と身についたものが多少あるのだろう。でも今後は、今までの埋め合わせをするべく、徹底的に単語を覚えてもらわなければならない。大変だけど頑張ろう。

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